れらの才人らは、長くこういう面白い目に会ったことがなかったのである。
騒ぎがやや静まった後に、平然たる楽長は、聴衆の方へ四分の三ほど顔を向け、しかも聴衆を見ないふうを装《よそお》いながら――(聴衆はやはりそこにいないものと見なされていた)――管弦楽団へ合図をして、一言述べたい由を示した。人々は「しッ!」と叫んだ。そして皆黙った。楽長はなおちょっと待った。それから口を開いた。――(明晰《めいせき》で冷やかでよく通る声だった。)
「諸君、楽匠ブラームスにたいしてあえて妄評《もうひょう》を加えた人を、一度御覧に入れたい希望がありませんでしたら、私はむろんこういうもの[#「こういうもの」に傍点]を終わりまで演奏させはしなかったでしょう。」
彼はそう言った。そして壇上から飛び降りながら、沸きたった場内の喝采《かっさい》のうちに退場した。人々は彼をも一度呼び出そうとした。歓呼はなお一、二分の間引きつづいた。しかし彼はふたたび姿を見せなかった。管弦楽隊は立ち去りかけていた。聴衆もまた立ち去ることにした。演奏会は終わった。
すてきな一日だった。
クリストフはもう外に出ていた。下劣な楽長がその
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