をも理解せず、かつそれを少しも気にかけてはいなかった。彼らは自分の持ち役の中であちらこちらに、いつもの効果を与えるような文句をばかり捜していた。朗吟法を調性と音楽的|律動《リズム》とに一致させることなどは、問題ではなかった。あたかもたえず調子はずれの歌い方をしてるがようだった。クリストフは歯ぎしりをして、一生懸命に音符を叫んでやった。が彼らは彼を叫ぶままにさしておいて、彼が自分たちに何を求めてるかさえ理解しないで、平然とやりつづけた。
 もし下稽古があまり進んでいなかったら、そして紛擾《ふんじょう》の起こる恐れで制せられていなかったら、クリストフはすべてを放《ほう》り出したかもしれなかった。彼はマンハイムに落胆してることをうち明けると、マンハイムは彼を笑った。
「どうしてだい?」とマンハイムは尋ねた。「万事うまくいってるじゃないか。君たちはたがいに理解していないんだって? へえ、それがなんだい。作者以外に作品が理解された例《ためし》などあるもんか。自分で自分の作品を理解するだけでも、十分幸運じゃないか。」
 クリストフは詩のばかばかしさを苦しんでいた。詩のために自分の音楽が毒されると言
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