った。マンハイムも、その詩には常識が欠けてることや、ヘルムートが「頓馬《とんま》」であることは、容易に認めていた。しかし彼はヘルムートにたいしてなんらの不安もいだいてはいなかった。ヘルムートは御馳走《ごちそう》をふるまっていたし、きれいな女をもっていた。批評界にとってはそれだけで十分じゃないか。――クリストフは肩をそびやかして、冗談を聞く暇はないと言った。
「なに冗談なもんか。」とマンハイムは笑いながら言った。「世間の奴らはおめでたいもんだ。人生において何がたいせつか、そんなことは少しも考えていないんだ。」
 そして彼は、ヘルムートのことをそんなに気にしないで、自分のことだけを考えるがいいとクリストフに忠告した。少し自分の広告でもせよと勧めた。クリストフは憤慨して拒絶した。彼の私生活について面会を求めて来たある探訪記者に、彼は腹をたてて答えた。
「それは君の知ったことじゃない!」
 また、ある雑誌に出すのだと言って写真を求められると、彼は怒《おこ》って飛び上がりながら、自分はありがたいことには通行人に顔をさらすような皇帝なんかではないと、怒鳴り返した。――また、彼を勢力ある社交界に結び
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