せりふ》を読み返してるところなの。十五分もかかれば大丈夫よ。」
 彼女は急《せ》き込んでる小娘のように、ごく早くやたらに読み散らしながら、爪《つめ》の先で書き抜きをたどっていた。彼は諳誦《あんしょう》の手伝いをしてやろうと言い出した。彼女は彼に書き抜きを渡し、立ち上ってくり返した。盛んに言いよどんだり、次の文句へ進んでゆく前に、前の句の終わりを何度もくり返したりした。諳誦しながら始終頭を振っていた。髪の留め針が室の方々に落ち散った。なかなか覚えにくい言葉に出会うと、躾《しつけ》の悪い子供のように焦《じ》れったがった。時とすると、おかしな悪口やかなりひどい言葉――みずから自分に浴びせかけるごくひどい短い言葉――を発することもあった。クリストフは、才能と幼稚さとを共にそなえてる彼女に驚いた。彼女は正当な感動的な台辞回しを見出していった。しかし、全心をこめてるらしい調子の最中に、なんの意味も含まないような言葉を言うことがあった。かわいい鸚鵡《おうむ》のように文句を諳誦して、どういう意味のものであるかは少しも気にかけなかった。するともう支離滅裂なおかしなものになってしまった。彼女はいっこう平気
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