つもりではなかったが、しかしやはり自然と悪口を言うのだった。だれかを揶揄《やゆ》する時には、自分の意地悪さを心ではとがめながらも、やはり南欧人の特色たる、現実的な滑稽《こっけい》な観察の才を失わなかった。彼女はそれをどうすることもできないで、うがった批評をくだすのだった。若犬のような歯並みを見せて、蒼《あお》ざめた唇《くちびる》で面自そうに笑った。化粧のために色|褪《あ》せた蒼白い顔の中には、隈《くま》のある眼が輝いていた。
 二人は突然、もう一時間以上も話をしたことに気づいた。クリストフはコリーヌ――(それが彼女の芸名だった)――へ、市内を案内するために午後誘いに来ようと申し出た。彼女はその考えにたいへん喜んだ。そして二人は、昼食後すぐに会う約束をした。
 約束の時間に、彼はそこへ行った。コリーヌは旅館の小さな客間にすわって、書き抜きを手にしながら声高く読んでいた。彼女は笑《え》みを含んだ眼で彼を迎え、なおやめないで文句を終わりまで読んだ。それから、安楽|椅子《いす》の自分のそばにすわるように合図をした。
「かけてちょうだい、そして口をきいちゃ厭《いや》よ。」と彼女は言った。「台詞《
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