去った。
「僕が隣りにいるとたいへん不愉快でしょうね、ごめんください。」
そこで彼女は彼をながめた。そして、先刻いっしょに来る決心の動機となったあの善良な微笑をまた彼の顔に見出した。
彼はつづけて言った。
「僕は思ってることを隠すことができないんです。……それにまた、あまりひどすぎたんで……。あの女が、あの婆《ばあ》さんが……。」
彼はふたたび嫌悪《けんお》のしかめ顔をした。
彼女は微笑《ほほえ》んで、ごく小声で言った。
「それでも、きれいですわ。」
彼は彼女の語調に気づいて尋ねた。
「あなたは外国の方《かた》ですか。」
「ええ。」と彼女は言った。
彼は彼女の質素な小さい長衣をながめた。
「先生をしてるんですか。」と彼は言った。
彼女は顔を赤くして答えた。
「ええ。」
「国はどちらです?」
彼女は言った。
「フランス人ですの。」
彼は驚きの身振りをした。
「フランス人ですって? 僕は思いもつきませんでした。」
「なぜですの。」と彼女はおずおず尋ねた。
「あなたはたいそう……真面目《まじめ》だから。」と彼は言った。
(彼女はそれを、彼の口から出る以上まったくお世辞では
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