そしてやはりおずおずしてる彼女を見ながら、自分の粗暴な様子は彼女をどんなにか驚かしたに違いないと、微笑《ほほえ》みながら考えてみた。――まさしく彼の考えたとおりだった。偶然にも彼と数時間いっしょにいることとなったその若い女の魂は、ほとんど病的なほど慎み深かった。思い切ってクリストフの招待を承諾したのも、異常な興奮のうちにあったからだった。そして承諾するやすぐに、どうかして彼の手をのがれ、口実を見出し、逃げてしまいたかった。皆の者の好奇心の的となってることを気づいた時には、なおたまらなかった。自分の後ろに――(彼女は振り向き得なかったのである)――連れの男の低いののしり声や不平の声を聞くに従って、ますますいたたまらなくなるばかりだった。彼がどんなことをしでかすかわからないような気がした。そして彼が出て来て自分のそばにすわった時、彼女は恐ろしさにぞっとした。まだ彼はどんなとっぴなことをするかわからない。彼女は穴にでもはいりたかった。そして知らず知らず身を引いていた。彼にさわるのが恐ろしかった。
 しかし、幕間《まくあい》になって、おとなしく話しかける彼の声を聞いた時、彼女の恐れはすべて消え
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