するよりは、少数のりっぱな人々に愛せられ理解される方が、はるかにましでりっぱではないか。……傲慢《ごうまん》と光栄の欲求との悪魔から、僕はもう引きずり回されはしないぞ。その点は安心したまえ!」
「そうだとも。」とマンハイムは言った。
 しかし彼はこう考えていた。
「一時間もたったらこの男は反対のことを言うだろう。」
 彼は平然と結論した。
「で僕が、ワグナー協会との間を万事調停してやろうじゃないか。」
 クリストフは両腕を上げた。
「そんなことだから、僕は一時間も骨折って、喉《のど》をからしながらいけないと叫んでるんじゃないか!……断わっておくが、僕はもう決してあんな所へ足を踏み入れはしない。いっしょに鳴くためにたがいに寄り集まりたがってる、あのワグナー協会の奴らが、あの組合主義の奴らが、あの羊小屋の奴らが、残らず厭でたまらないんだ。あの羊どもに向かって、僕の代わりに言ってくれたまえ、僕は狼《おおかみ》だと、僕には歯があると、僕は草を食うようにできてる人間じゃないと!」
「よし、よし、言ってやろう。」とマンハイムは言いながら、その昼芝居を面白がって立ち去っていった。彼はこう考えていた。
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