、不名誉、汚辱、卑劣、賤《いや》しい譲歩、などを償うものででもあるかのように! ところでもしそういう焦慮が今もなお僕の頭を悩ましてるとしたら、僕はむしろ悪魔にでもさらってゆかれたい。もうそんなことは少しも思っていないんだ。聴衆だの著名だのということには、少しも関《かか》わりたくないんだ。著名ということは、不名誉きわまる賤《いや》しいことだ。僕は一私人でありたいし、自分自身と愛する人々とのために生きたいんだ……。」
「それはそうだ。」とマンハイムは皮肉な様子で言った。「だが仕事は一つなくっちゃいけない。君はなぜ靴《くつ》でもこしらえないのか。」
「ああ僕がもし、他に類のないあのザックスのような靴屋だったら!」とクリストフは叫んだ。「どんなにか僕の生活は愉快に整ってゆくだろう! 一週のうち六日は靴屋をやる――日曜には、ただ親しい者だけで、自分の楽しみにまた数人の友人の楽しみに、音楽をやる。実にいい生活だろう!……馬鹿者どもの判断に供せられるというみごとな喜びのために、自分の時間と労力とをささげてしまうのは、愚の至りではないか。多くの阿呆どもに聞かれたりがやがや言われたり諛《へつら》われたり
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