「この男は狂人だ、縛っておくべき狂人だ……。」
 彼はすぐにその対談を妹に語った。妹は肩をそびやかして、そして言った。
「狂人ですって? あの人は狂人だと思わせたがってるのよ。……お馬鹿さんで、おかしなほど傲慢《ごうまん》な人ですわ……。」

 かかる間にもクリストフは、ワルトハウスの雑誌上で、激しい戦いをつづけていた。それも戦いが面白いからではなかった。批評界全体が彼を非難し、彼の方ではすべてを罵倒《ばとう》し去ろうとしていた。彼は口をつぐむように仕向けられるのでなお頑張《がんば》ったのであって、譲歩の様子を示したくなかったのである。
 ワルトハウスは心配しだした。乱打の最中にあって無難である間は、オリンポスの神のごとき泰然さをもって激戦をながめていた。しかし数週以前から、どの新聞もいっせいに、ワルトハウスの侵すべからざる品位を忘れたかのようだった。そして彼の作者としての自尊心を攻撃し始めた。彼がもしいっそう慧敏《けいびん》であったなら、それらの攻撃の異常な邪悪さのうちに、友人の爪先《つまさき》を認め得たはずである。実際それらの攻撃が起こったのは、エーレンフェルトやゴールデンリンク
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