ことにのみ役だったと同じく、バイロイトの分派はそれぞれ小さな教会堂であって、そこで人々は永久に、唯一の神をほめてミサを唱えていた。神聖な教義を文字どおりに遵守《じゅんしゅ》し、顔を塵《ちり》に埋めてひれ伏し、音楽や詩や劇や形而上《けいじじょう》学などというさまざまの見地から唯一の神体を礼拝してる、忠実なる弟子《でし》らにたいして、礼拝堂の側席へはいるのを許すのが、最上のことであった。
 この町のワグナー協会の場合も、まさに同じであった。――けれどもこの協会は、種々の行動を取っていた。役にたちそうに思われる有能な青年らを、好んで取り入れようとつとめていた。そして久しい以前から、クリストフに眼をつけていた。ひそかに彼へ意を伝えたこともあった。が彼はそれを念頭にも置かなかった。いかなるものとも結合するの要求を別に感じなかったのである。いかなる必要があって同国人らが皆、いつも羊のように群れを作り、単独では、歌うことも散歩することも飲むことも、何事もなし得ないかの観があるのを、彼は理解できなかった。彼はあらゆる組合主義をきらっていた。しかしいずれかと言えば、他のいかなる組合よりもワグナー協会の方
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