、しかも苦々しい凡庸《ぼんよう》な卑賤《ひせん》なものまでも、喜んで感じ許容し観察し理解したがっていた。――それだけのことで、それらのものにその光明を多少伝うるに足り、クリストフを虚無から救い出すに足りた。その魂は彼に、自分はまったくの孤独ではないと感じさした。そしてこのすべてであることを好みすべてを知ることを好む第二の魂が、あらゆる破壊的な情熱にたいして城壁を築いてくれた。
 この魂は、水の上に彼の頭を維持させるには足りたが、独力で水から脱することを彼に得さしはしなかった。彼はまだ、自分を制御し精神を統一することは、なかなかできなかった。いかなる仕事もできなかった。やがて多産的になるべき精神的危機を、彼は通っていた。――未来の全生涯はすでにそこに芽《めぐ》んでいた――しかしその内心の豊富さは、当座の間、狂妄《きょうもう》な行いとなってしか現われなかった。そしてかかる過剰な充実の直接の結果は、最も貧弱な空粗のそれと異ならなかった。クリストフは自分の生活力におぼらされていた。彼のあらゆる力は恐るべき圧力を受けて、あまりに急激に全部同時に生成していた。ただ意志だけがそれほど急激には生長して
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