り、無力を表白するものであった。しかしそれはまた、凡俗な輩《やから》の自己満足的な愚昧《ぐまい》さをもって、心を和らげてくれるものでもあった。クリストフは心の底ではこの友を軽蔑《けいべつ》しながら、もはや彼なしですますことができなかった。フリーデマンの仲間でさらに下らない曖昧《あいまい》な落伍《らくご》者どもといっしょに、二人がいつも相並んで食卓についてるのが見られた。連中は賭博《とばく》をし、駄弁《だべん》を弄し、幾晩もぶっとおしに酒を飲んだ。クリストフは豚料理と煙草のむかむかする匂《にお》いの中で、突然我に返ることがあった。そして昏迷《こんめい》した眼であたりの人々を見回した。もはや彼らには見覚えがなかった。彼は心を痛めながら考えた。
「俺《おれ》が今いるのはどこなのか? この連中は何者なのか? 俺は此奴《こいつ》らとなんの用があるのか?」
 彼らの話や笑声をきくと、彼は胸糞《むなくそ》が悪くなった。しかしその連中と別れるだけの力がなかった。家に帰って、自分の欲望や悔恨と差向いになるのが恐《こわ》かった。彼は駄目になりつつあった。駄目になりつつあることをみずから知っていた。彼は捜し
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