それに卑屈にも乗じていた。その虚栄心や嫉妬《しっと》心に諛《こ》び、その冷遇をおとなしく甘受し、町の醜聞を、ことにクリストフに関する醜聞を、一々告げ知らした――そんな話なら彼はいつでも不思議なほどよく知っていた。そして彼はまんまと目的を達した。ロドルフは吝嗇《りんしょく》にもかかわらず、クリストフと同様に、エルンストから騙《だま》し取られていた。
かくてエルンストは、公平に二人を利用し愚弄《ぐろう》していた。また二人とも彼を愛していた。
エルンストは日ごろの狡猾にもかかわらず、母のところへ姿を現わした時には気の毒な様子をしていた。彼はミュンヘンからやって来たのだった。そこで彼は最後の地位を見つけ出したが例のとおりすぐに追い払われてしまった。篠《しの》つく雨に打たれたり、どことも知れぬ所に臥《ふ》したりしながら、大半の道程《みちのり》を歩かなければならなかった。泥《どろ》にまみれ、着物は裂け、乞食《こじき》のようなふうをし、また痛々しい咳《せき》をしていた。途中で悪い気管支炎にかかったのである。彼がはいって来るのを見ると、ルイザは心転倒してしまい、クリストフは感動して駆け寄った。エ
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