的な順位をもってする。
かくして作品全体は、交響曲の四つの楽章のように、四編となって現われる。
第一編は、クリストフの若き生(曙《あけぼの》、朝、青年)を包括し、家庭および小さな郷国の狭い境域における、彼の感覚と心情との覚醒から、試錬までを含む。この試錬を経て彼は傷つくが、しかし、自己の使命と、自分に課された雄々しい苦悩と闘争との生活を、にわかに感得する。
第二編(反抗、広場の市)は、当時の社会的および芸術的虚偽にたいして征途にのぼった、卒直な一徹過激な青年クリストフの騎馬行を――騾馬《らば》屋や役人や風車にたいして、ドイツおよびフランスの広場の市にたいして、彼がドン・キホーテ式に鎗《やり》を振うことを、反抗という一事のうちに一括する。
第三編(家の中、アントアネット、女友だち)は、前編の狂暴な熱中と憎悪に対照する、穏かなしみじみとした雰囲気の中にあって、友情と純愛とへの哀歌である。
最後に第四編(燃ゆる荊《いばら》、新らしき日)は、人生のさなかにおける大試錬であり、懐疑と暴虐な情熱の突風であり、魂の暴風雨であって、それはすべてを破壊しつくす恐れがあるが、しかし超自然的な曙《
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