ちぐさひめ》と申すこの森の女王でございます。今おもしろいことをご覧《らん》に入れましょう」
そして千草姫は、声を高めて言いました。
「王子様のもてなしに、みんな出て来て踊っておくれ」
すると、どこからともなく芝地の上に、さっきのような森の精が一人飛び出してきました。薔薇《ばら》の花を一つ頭にかぶっていました。そして次のように歌いながら、くるりと廻りました。
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ひいとつ ひとつ
くるりと廻って、まーた出ろ。
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すると、菊《きく》の花をつけた森の精が出て来ました。それから二人でまた歌って踊りました。
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ふうたつ、ふたつ、
くるくる廻って、まーた出ろ。
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牡丹《ぼたん》の花をつけた森の精が出て来ました。
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みいっつ、みっつ、
くるくる、くーるり、まーた出ろ。
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梅《うめ》の花をつけた森の精が出て来ました。
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よーっつ、よっつ、
くるくる、くるくる、まーた出ろ。
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桜《さくら》の花をつけた森の精が出て
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