か》に考えようが無いではないか。本線を進行したものとしか考えられんではないか。たぶんその短距離列車は、何等かの手掛りになるような事実を見たろうと思う。よし、もう一度マンチェスターへ打電してみよう、それからケニヨンへも打電して至急バートン・モスまでの線路を取調べるように請求してみよう。』
マンチェスターからの返電は三分と経たないうちに来た。
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『今もって何等かの報道なし。短距離列車の機関手も車掌もケニヨン、バートン・モス間に何等かの変事を見ず――マンチェスター。』
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それから三十分が過ぎた。そしてケニヨンの駅長から次の返電が来た――
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『臨列の行方不明。当駅を通過したるもバートン・モスに到着せざること確かなり。貨物車の機関車を利用して本職自らバートン・モスまで行く行く調査したるも何等の変事無し。』
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駅長は困惑して髪の毛を掻むしった。
『こりゃ驚くべき発狂だ、フード君!』と彼は叫んだ。『この昼日中《ひるひなか》、この英国で、列車が空中に消えて無くなろうとは! 実に辻褄の合わない話ではないか。
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