臨時急行列車の紛失
コナン・ドイル
新青年編輯局訳

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)繙《ひもと》いて

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)中部|亜米利加《アメリカ》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#ここから4字下げ]
−−

       はしがき

[#ここから4字下げ]
 死刑を宣告されて今マルセイユ監獄に繋がれているヘルバルト・ドゥ・レルナークの告白は、私の信ずるところでは、どこの国の犯罪史を繙《ひもと》いてみても、絶対的に先例が無かっただろう‥‥‥と思われるような、あの異常な事件の上にようやく一道の光明を投げあたえた。官辺では、この事件を論ずることを明らかに避けているけれど、そして新聞もそれに調子を合せてほとんど沈黙を守っているけれど、とにかく我々は、この大犯罪者の告白によって、一つの驚嘆すべき事件の謎が解かれたものと見なければならない。その事件とは、今から八年も前に起った出来事でもあり、かつ、当時はある外交上の危機がわが英国民の注意を一せいに呼集めていた秋《とき》だったため、事件の重大な割合には
次へ
全34ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
ドイル アーサー・コナン の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング