、臨時急行列車が今もって到着しないが、という電信を受取って非常に驚いてしまった。とりあえず、マンチェスター駅よりは三分の一ほど手前のセント・ヘレンス駅へ問合せの電信をうってみると、次のような返電があった――
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『リヴァプール駅長ジェームス・ブランドへ、――臨列、遅刻なく四時五十二分当駅通過、――セント・ヘレンス、ダウサー。』
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 この電報は六時四十分に受取った。するとまた六時五十分にはマンチェスターから第二信が飛来した。
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『予報の臨列未着』
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 それから十分後には、いっそう謎のような第三信が受取られた――
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『臨列の予報は何かの間違と認む。臨列後のセント・ヘレン発短距離列車ただいま到着したるも臨列の姿を見ずという。返信待つ――マンチェスター。』
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 この第三信から次のように推測することが出来る。――もし臨時列車に何かの椿事《ちんじ》が起ったのなら、その短距離列車がそれに気づかずに同じ線路を走ったものとはどうしても受取れないはずだ。でないとすれば、何
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