車が果して首尾よく引込線の方へ転轍されて行くかどうかを監視するため、転轍器の側に待っていたのだ。彼は四人の武装した仲間を引連れていた。それは、万一列車が本線を直進してしまうような惧れがあっても――我々はそれをことによると有り得べきことだと思ったからだ、転轍器《ポイント》が非常に錆び切っていたので――直ちに応急手段にうったえることが出来ようためだった。しかし、列車は故障なく引込線へ進入した。彼は自身の責任を余の手に移した。自分は炭坑の入口を見下ろすことの出来る位置に待っていた。自分自身も、仲間と同じように武装をこらして。何でも来いという調子だった、自分にはいつでも用意が出来ていたのだ。
『列車は首尾よく引込線へ滑り込んだ。と、その時、火夫のスミスは機関車の速力をちょっと緩めた。が、今度は更に最大速力で突進するように機械を廻しておいて、彼と車掌のマックファースンと例の英国人とは、時機を失わない内に車上から身を躍らして飛び下りた。最初にわかに速力を緩めた時それはさすがに二人の乗客の不審を買わないはずがなかった。けれども驚いて彼等が開かれた窓口へ頭を出した時には、列車はすでに疾風のように突進し
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