競走馬に五千ポンドも自分で賭けていたという。
 捕われた時彼は、実はキングス・パイランドの白銀と栗毛や、ケープルトンの厩舎でサイラス・ブラウンが管理している第二の人気者デスボロについて何か予想材料を得たいと思ってわざわざダートムアまで出かけて来たんだと、自分から進んで述べた。そして前夜、前にいったような行動をとったことも否定はしなかったが、それについては他意あったわけではなく、ただ確実な材料を掴みたかったからそうしたまでだといい切った。そこでストレーカの掴んでいた襟飾《ネクタイ》を見せると、さっと顔色を変えたが、なぜそれが被害者の手にあったかということは、一言もいい開きはし得なかった、服のぬれていることは、前夜あらしに屋外にいたことを語っているし、ステッキはピナン島産の棕梠《しゅろ》製で、鉛を入れて重みがつけてあって、何度も乱打すればストレーカの受けてるような傷を与えるに十分な兇器となり得るものだった。
「しかるに、ストレーカのナイフにあのように血のついてるところを見れば、加害者は一人ではなかったにしても、少くともその中の誰かは切られていなければならないはずだのに、シムソンの身体には少
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