谷さんにふらんす語を教へて貫つて居た。摩文仁さんは帰つた。覚え憎いので今日《けふ》の稽古は見合せて貰つた。こんな頭の悪い時に習字でもして置かうと思つて自分の名だの良人の名だのを書いて居た。古尾谷さんに今朝《けさ》貰つた煙草《たばこ》を一|包《つゝみ》上げた。昨日《きのふ》程ではないがまだ頭痛がして来たので七時頃に横になつた。直《す》ぐ眠つてしまつて九時に目が覚《さ》めてまた十一時まで眠つた。起きてソツプを飲んでそれからこれをつけた。これから選歌をするのである。
十日
午前一時半に床《とこ》へ入《はい》つて、五時に目が覚《さ》めて六時過ぎに起きた。日々《にち/\》に送る歌を読まうとしたが娘さん達の来る頃だと思ふと何だか気が落ち着かなくて一つより歌が出来なかつた。女の子の二人は元園町へ遊びに行つた。送つて行つた秀《ひいづ》は帰つて来るとまた直《す》ぐ藤島さんへ行く光《みつ》と、水道橋の停車|場《ぢやう》まで一緒に行つた。天野さんが来て夫《それ》からお照《てる》さんが来た。桃の母親が仕立物を持つて来てくれた。私は大急ぎでつもり物を六枚分|拵《こしら》へてまた渡した。神保町で買つた襟をこの
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