想について自覚がないために、その活動は、文化主義の敵である資本制度の下に盲従して、婦人や小児を賃銀奴隷の位地に堕落させるような意外な結果になっているのです。もしそれらの婦人たちの眼が生活の理想に向いて開いていたなら、そのような内職を無条件で取次ぐことなく、賃銀の値上を問屋に対して要求すると共に、内職の過労と人間の機械化とから解放されることを家庭の婦人たちに勧告されねばならないはずだと思います。全国の処女会に関係する指導者側の婦人たちが唯だ「強く働け」というような事ばかりを奨励されるのも、私から見れば何たる無自覚な言動であろうと浅ましく思われます。

       *

 また台所の構造の改良、廃物の利用、衣服の改良、混食代用食の奨励、贈答や送迎の廃止というようなことに努力される婦人たちについても、それが余りに局限された一部分の改革であって、今日の大局から見て、或物は閑問題であり、或物は徒労問題であり、また或物は文化生活を裏切るものであるとさえ思われます。
 飢饉時代でない限り、人間に向って不味な食物を以て辛抱せよと奨励することは、人間の本能を無視した不自然な行為です。人間の料理法は永い
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