婦人指導者への抗議
与謝野晶子

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)朧《おぼ》ろげながら

|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)無用|乃至《ないし》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地より1字上げ]
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 私たち日本婦人は一九一九年において破天荒な刺戟を受けました。それは私たちが世界に触れると共に未来に触れたことです。久しく家庭と因習との窮屈な中に機械的の存在者であった私たちが、一躍して世界の生活に接触し、未来の生活理想と交渉するに到ったことは驚くべき激変と言わねばなりません。
 その一九一九年も今は過去に属してしまいました。そして私たちがこの新春を迎えることは、最早見苦しい旧吾を重ねることでなくて、ひたすらみずみずしい新吾を自ら生むことであると思います。
 私たちは久しい間の、過去の屈従し現状を維持する生活に飽き飽きしました。それは人間性の無限の発芽を圧抑して、唯だ非人格的の存在を続けるだけの生活でした。私たちは既に朧《おぼ》ろげながらにもせよ、人間として感ずべく知るべき事の幾分を感じかつ知りま
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