な体質とを持った女は子供も産むがよい、社会的事業にも従事するがよい、その他|能《あた》うかぎり何事に向っても多々益々弁《たたますますべん》じて欲しいと私は思っている。また私はその女の生活として価値が乏しいので避け得られる限り避けた方が好く、そうして避けようとすれば避けることが出来た過度の労働を避けなかったために自分の体力を弱くし、妊娠不能となり、または虚弱不具な子供を生むような女に対しても、同じ理由から不満である。しかし、学者、女権論者、女優、芸術家、教育家、看護婦等に従事している婦人の内の或人たちが、その道とその職業とに忠実であり、熱心であるために結婚を避け、従って母性の権利と義務を履行しないのは、男の側のそれらの道と職業を以て人類の幸福の増加に熱中している人たちの中の或人人が一生|娶《めと》らずかつ父とならないのと同じく、全くその婦人たちの自由に任すべきものであると私には考えられる。そういう婦人たちに対してケイ女史のように一概に「絶対の手前勝手」を以て攻撃するのは酷である。
 もし母性を実現しない女が悉《ことごと》く「絶対の手前勝手」であるなら、前に挙げた不健康その他の理由から結婚
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