なければなりません。
 平塚さんを首唱者として新婦人協会が成立したということについて、私は心の底から多大の喜びを感じました。それは最近の婦人会における第一の吉報だと思います。日本婦人の総動員はいろいろの意味で非常に必要です。首唱者としても、統率者としても絶好の適任者を得ました。私は平塚さんが進んで自らこの重任に当られた熱誠と勇気とに敬服します。私はその事を聞くや否や、早速新聞雑誌を通じて平塚さんに対する感謝を書いて置きましたから、此処《ここ》にはそれを繰返さず置きます。
 平塚さんから協会の創立された通知を受けて以来、私が最も真面目に注視せずにおられなかったことは、協会の第一著の運動が如何なる問題に由って始められるかということでした。私は窃《ひそ》かに、それが現下の問題となっている普通選挙の要求と関連して、女子の参政権をも認容した普通選挙運動の目標の下に、全国の婦人団体を糾合《きゅうごう》されることであろうと期待していました。しかるに私の期待は逸《そ》れて、平塚さんたちは「治安警察法第五条の修正」と「花柳《かりゅう》病男子の結婚制限」という二種の請願を貴衆両院へ提出することを以て第一著
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