女史が、帰来直ちに新婦人協会の創立を発表し、主として全国婦人の連合運動を企図されるに到ったことなども、我国の婦人運動が茲《ここ》に新紀元を画して、初めて実際に現代的意義を持つようになった表徴であろうと思います。この外に、青年婦人中の博識家である山田わか女史が近く『婦人と新社会』と題する婦人雑誌を発行されるという事をも確聞します。この三、四年来、その精緻《せいち》な社会主義的方面の知識と、改革者的な熱誠とを文筆に傾倒して、最も率直に我国の急進派婦人を代表される山川菊栄《やまかわきくえ》夫人が、社会の重望の中に今後も一層活動されるであろうことは言うまでもなく、国際労働会議より帰られた田中孝子《たなかたかこ》夫人も、益々《ますます》婦人労働問題のために摯実《しじつ》な研究と努力とを続けられる覚悟だということです。あれやこれやを湊合《そうごう》して、私は例の楽観的に考えると、どうやら日本婦人が自己と環境との改造を目標として、本質的にかつ積極的に行動する機運が到来したように思われます。私たち一般婦人はそれらの先駆者たちに指導されながら、この女子新興の機運を助長すると共に、それを各自の生活に善用し
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