死ぬやらん。
わがする幅広《はゞびろ》の帯こそ大蛇《だいじや》なれ、
じりじりと、じりじりと巻きしむる。
月見草
夜あけ方《がた》に降つた夕立が
庭に流した白い砂、
こなひだ見て来た岩代《いはしろ》の
摺上川《すりがみがは》が想《おも》はれる。
砂に埋《うも》れて顔を出す
濡《ぬ》れた黄いろの月見草《つきみさう》、
あれ、あの花が憎いほど
わたしの心をさし覗《のぞ》き、
思ひなしかは知らねども、
やつれた私を引き立たす。
明日
過ぎこし方《かた》を思へば
空わたる月のごとく、
流るる星のごとくなりき。
行方《ゆくへ》知らぬ身をば歎かじ、
わが道は明日《あす》も弧《こ》を描《ゑが》かん、
踊りつつ往《ゆ》かん、
曳《ひ》くひかり、水色の長き裳《も》の如《ごと》くならん。
芸術
芸術はわれを此処《ここ》にまで導きぬ、
今《こん》[#ルビの「こん」はママ]こそ云《い》はめ、
われ、芸術を彼処《かしこ》に伴ひ行《ゆ》かん、
より真実に、より光ある処《ところ》へと。
力
われは軛《くびき》となりて挽《ひ》かれ、
駿足《しゆんそく》の馬となり
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