ゆ》く。

蟻《あり》よ、蟻《あり》よ、
お前さん達はみんな
可愛《かは》いい、元気な8《はち》の字少年隊。
行《ゆ》くがよい、
行《ゆ》くがよい、
8《はち》、8《はち》、8《はち》、8《はち》、
8《はち》、8《はち》、8《はち》、8《はち》………[#「………」は底本では「‥‥‥」]

[#ここで段組終わり]
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[#ページの左右中央から]

   壺の花
      (小曲十五章)

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[#ここから2段組]

    コスモス

一本のコスモスが笑つてゐる。
その上に、どつしりと
太陽が腰を掛けてゐる。
そして、きやしやなコスモスの花が
なぜか、少しも撓《たわ》まない、
その太陽の重味に。


    手

百姓の爺《ぢい》さんの、汚《よご》れた、
硬い、節《ふし》くれだつた手、
ちよいと見ると、褐色《かつしよく》の、
朝鮮|人蔘《にんじん》の燻製《くんせい》のやうな手、
おお、之《これ》がほんたうの労働の手、
これがほんたうの祈祷《きたう》の手。


    著物

二枚ある著物《きもの》なら
一枚脱ぐのは易《やす》い。
知れきつた道理を言はないで下さい。

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