と》かを弾きぬ。
どす黒く青き筋肉の蛇の節《ふし》廻し………
わが知れる芸術家の集りて、
女と酒とのある処《ところ》、
ぐれんどうの命《みこと》必ず暴風《あらし》の如《ごと》く来《きた》りて罵《のゝし》り給《たま》ふ。
何処《いづこ》より来給《きたま》ふや、知り難《がた》し、
一所《いつしよ》不住《ふぢゆう》の神なり、
きちがひ茄子《なす》の夢の如《ごと》く過ぎ給《たま》ふ神なり。
ぐれんどうの命《みこと》の御言葉《みことば》の荒さよ。
人皆その眷属《けんぞく》の如《ごと》くないがしろに呼ばれながら、
猶《なほ》この神と笑ひ興ずることを喜びぬ。
焦燥《せうさう》
あれ、あれ、あれ、
後《あと》から後《あと》からとのし掛つて、
ぐいぐいと喉元《のどもと》を締める
凡俗の生《せい》の圧迫………
心は気息《いき》を次《つ》ぐ間《ま》も無く、
どうすればいいかと
唯《た》だ右へ左へうろうろ………
もう是《こ》れが癖になつた心は、
大やうな、初心《うぶ》な、
時には迂濶《うくわつ》らしくも見えた
あの好《す》いたらしい様子を丸《まる》で失ひ、
氷のやうに冴《さ》えた
細身の
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