円葉柳《まろはやなぎ》を
離るれば、
誰《たれ》も帰らぬ旅の人。


    わが髪

わが髪は
又もほつるる。
朝ゆふに
なほざりならず櫛《くし》とれど。

ああ、誰《たれ》か
髪|美《うつ》くしく
一《ひと》すぢも
乱さぬことを忘るべき。

ほつるるは
髪の性《さが》なり、
やがて又
抑《おさ》へがたなき思ひなり。


    坂本紅蓮洞さん

わが知れる一柱《ひとはしら》の神の御名《みな》を讃《たた》へまつる。
あはれ欠けざることなき「孤独|清貧《せいひん》」の御霊《みたま》、
ぐれんどうの命《みこと》よ。

ぐれんどうの命《みこと》にも著《つ》け給《たま》ふ衣《きぬ》あり。
よれよれの皺《しは》の波、酒染《さかじみ》の雲、
煙草《たばこ》の焼痕《やけあと》の霰《あられ》模様。

もとより痩《や》せに痩《や》せ給《たま》へば
衣《きぬ》を透《とほ》して乾物《ひもの》の如《ごと》く骨だちぬ。
背丈の高きは冬の老木《おいき》のむきだしなるが如《ごと》し。

ぐれんどうの命《みこと》の顳※[#「需+頁」、第3水準1−94−6]《こめかみ》は音楽なり、
断《た》えず不思議なる何事《なにご
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