わたしに遠ざかる。
×
青い小鳥のひかる羽《はね》、
わかい小鳥の躍る胸、
遠い海をば渡りかね、[#「渡りかね、」は底本では「渡りかね、」」]
泣いてゐるとは誰《だ》れが知ろ、
まだ薄雪の消えぬ峰。
×
つうちで象をつうくつた[#「つうくつた」は底本では「つくつた」]、
大きな象が目に立つた、
象の祭がさあかえた、
象が俄《には》かに吼《ほ》えだした、
吼《ほ》えたら象がこおわれた。
×
まぜ合はすのは目ぶんりやう、
その振るときのたのしさう。
かつくてえるのことでない、
わたしの知つたことでない、
若い手で振る無産党。
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鳥を追ふとて安壽姫《あんじゆひめ》、
母に逢《あ》ひたや、ほおやらほ。
わたしも逢《あ》ひたや、猶《なほ》ひと目、
載せて帰らぬ遠い夢、
どこにゐるやら、真赤《まつか》な帆。
×
鳥屋が百舌《もず》を飼はぬこと、
そのひと声に百鳥《ももどり》が
おそれて唖《おし》に変ること、
それに加へて、あの人が
なぜか折折《をりをり》だまること。
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逆《さか》しに植ゑた戯れに
あかい芽をふく杖《つゑ》がある。
指を触れたか触れ
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