《がた》し、
歌は何《いづ》れも断章《フラグマン》。
たとひ万年生きばとて
飽くこと知らぬ我なれば、
恋の初めのここちせん。
蝶
羽《はね》の斑《まだら》は刺青《いれずみ》か、
短気なやうな蝶《てふ》が来る。
今日《けふ》の入日《いりひ》の悲しさよ。
思ひなしかは知らねども、
短気なやうな蝶《てふ》が来る。
欲望
彼《か》れも取りたし、其《そ》れも欲《ほ》し、
飽かぬ心の止《や》み難《がた》し。
時は短し、身は一つ、
多く取らんは難《かた》からめ、
中に極めて優れしを
今は得んとぞ願ふなる。
されば近きをさし措《お》きて、
及ばぬ方《かた》へ手を伸ぶる。
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小鳥の巣
(押韻小曲五十九章)
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小序。詩を作り終りて常に感ずることは、我国の詩に押韻の体なきために、句の独立性の確実に対する不安なり。散文の横書にあらずやと云ふ非難は、放縦なる自由詩の何れにも伴ふが如し。この欠点を救ひて押韻の新体を試みる風の起らんこと、我が
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