》、
濶《ひろ》き梔花色《くちなしいろ》の上衣《うはぎ》を被《はお》りたる、
けだかくも優《やさ》しきロダン夫人は、
みづから庭に下《お》りて、
露おく中に摘みたまひ、
我をかき抱《いだ》きつつ是《こ》れを取らせ給《たま》ひき。
花束よ、尊《たふと》く、なつかしき花束よ、
其《その》日の幸ひは猶《なほ》我等が心に新しきを、
纔《わづか》に三年の時は
無残にも、汝《そなた》を
埃及《エヂプト》のミイラに巻ける
五千年|前《ぜん》の朽ちし布の
すさまじき茶褐色に等しからしむ。
われは良人《をつと》を呼びて、
曾《かつ》て其《その》日の帰路《きろ》、
夫人が我等を載せて送らせ給《たま》ひし
ロダン先生の馬車の上にて、
今|一人《ひとり》の友と三人《みたり》
感激の中に嗅《か》ぎ合ひし如《ごと》く、
額《ぬか》を寄せて嗅《か》がんとすれば、
花は臨終《いまは》の人の歎く如《ごと》く、
つと仄《ほの》かなる香《にほひ》を立てながら、
二人《ふたり》の手の上に
さながら焦げたる紙の如《ごと》く、
あはれ、悲し、
ほろほろと砕け散りぬ。
おお、われは斯《か》かる時、
必ず冷《ひや》やかにあり難
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