児《こ》、
抱寝《だきね》して、其児《そのこ》に
初めて人間のマナを飲まする母、
はげしき※[#「執/れっか」、298−上−7]愛《ねつあい》の中に手を執《と》る
婚莚《こんえん》の夜《よ》の若き二人《ふたり》、
若葉に露の置く如《ごと》く額《ひたひ》に汗して、
桑を摘み、麻を織る里人《さとびと》、
共に何《なに》たる景福《けいふく》の人人《ひとびと》ぞ。
たとひ此《この》日、欧洲の戦場に立ちて、
鉄と火の前に、
大悪《だいあく》非道の犠牲とならん勇士も、
また無料宿泊所の壁に凭《よ》りて
明日《あす》の朝飯《あさはん》の代《しろ》を持たぬ無職者も、
ああ五月《ごぐわつ》、此《この》月に遇《あ》へることは
如何《いか》に力満ちたる実感の生《せい》ならまし。
ロダン夫人の賜へる花束
とある一つの抽斗《ひきだし》を開きて、
旅の記念の絵葉書をまさぐれば、
その下より巴里《パリイ》の新聞に包みたる
色褪《いろあ》せし花束は現れぬ。
おお、ロダン先生の庭の薔薇《ばら》のいろいろ……
我等|二人《ふたり》はその日を如何《いか》で忘れん、
白髪《しらが》まじれる金髪の老|貴女《きぢよ
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