》へて撲《う》ち殺し、
穿《うが》ちし壁をさかしらに
太き石もて繕《つく》ろひぬ。
さは云《い》へ壁を築きしは
もとより世世《よよ》の凡夫《ぼんぶ》なり、
稀《まれ》に出《い》で来《く》る天才の
至上の智慧に及ばんや。
時なり、今ぞ飛行機と
大重砲《だいぢゆうはう》の世は来《きた》る。
見よ、真先《まつさき》に、日の方《かた》へ、
「生きよ」と叫び飛ぶ群《むれ》を。
不思議の街
遠い遠い処《ところ》へ来て、
わたしは今へんな街を見てゐる。
へんな街だ、兵隊が居ない、
戦争《いくさ》をしようにも隣の国がない。
大学教授が消防夫を兼ねてゐる。
医者が薬価を取らず、
あべこべに、病気に応じて、
保養中の入費《にふひ》にと
国立銀行の小切手を呉《く》れる。
悪事を探訪する新聞記者が居ない、
てんで悪事が無いからなんだ。
大臣は居ても官省《くわんしやう》が無い、
大臣は畑《はたけ》へ出てゐる、
工場《こうぢやう》へ勤めてゐる、
牧場《ぼくぢやう》に働いてゐる、
小説を作つてゐる、絵を描いてゐる。
中には掃除車の御者《ぎよしや》をしてゐる者もある。
女は皆余計なおめかしをしない、
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