瀟洒《せうしや》とした清い美を保つて、
おしやべりをしない、
愚痴と生意気を云《い》はない、
そして男と同じ職を執《と》つてゐる。
特に裁判官は女の名誉職である。
勿論《もちろん》裁判所は民事も刑事も無い、
専《もつぱ》ら賞勲の公平を司《つかさど》つて、
弁護士には臨時に批評家がなる。
併《しか》し長長《ながなが》と無用な弁を振《ふる》ひはしない、
大抵は黙つてゐる、
稀《まれ》に口を出しても簡潔である。
それは裁決を受ける功労者の自白が率直だからだ、[#「だからだ、」は底本では「だからだ」]
同時に裁決する女が聡明《そうめい》だからだ。
また此《この》街には高利貸がない、
寺がない、教会がない、
探偵がない、
十種以上の雑誌がない、
書生芝居がない、
そのくせ、内閣会議も、
結婚披露も、葬式も、
文学会も、絵の会も、
教育会も、国会も、
音楽会も、踊《をどり》も、
勿論《もちろん》名優の芝居も、
幾つかある大国立劇場で催してゐる。
全《まつた》くへんな街だ、
わたしの自慢の東京と
大《おほ》ちがひの街だ。
遠い遠い処《ところ》へ来て
わたしは今へんな街を見てゐる。


    女は
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