《おちば》と、木枯《こがらし》と、
爛《たゞ》れた傷を見るやうに
一《ひと》すぢ残る赤い路《みち》……
わたしは此処《ここ》へ泣きに来る。


    砂の塔

「砂を掴《つか》んで、日もすがら
砂の塔をば建てる人
惜しくはないか[#「ないか」は底本では「ないが」]、其時《そのとき》が、
さては無益《むやく》な其《その》労が。

しかも両手で掴《つか》めども、
指のひまから砂が洩《も》る、
する、する、すると砂が洩《も》る、
軽《かろ》く、悲しく、砂が洩《も》る。

寄せて、抑《おさ》へて、積み上げて、
抱《かゝ》へた手をば放す時、
砂から出来た砂の塔
直《す》ぐに崩れて砂になる。」

砂の塔をば建てる人
これに答へて呟《つぶや》くは、
「時が惜しくて砂を積む、
命が惜しくて砂を積む。」


    古巣より

空の嵐《あらし》よ、呼ぶ勿《なか》れ、
山を傾け、野を砕き、
所《ところ》定めず行《ゆ》くことは
地に住むわれに堪《た》へ難《がた》し。

野の花の香《か》よ、呼ぶ勿《なか》れ、
若《も》し花の香《か》となるならば
われは刹那《せつな》を香らせて
やがて跡なく消えはてん。


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