掛る、
子供の事が又しても……

せはしい日本の日送りも
心ならずに執《と》る筆も、
身の衰へも、わが髪の
早く落ちるも皆子ゆゑ。

子供を忘れ、身を忘れ、
こんな旅寝《たびね》を、はるばると
思ひ立つたは何《なに》ゆゑか。
子をば育《はぐく》む大切な
母のわたしの時間から、
雀《すゞめ》に餌《ゑ》をばやる暇を
偸《ぬす》みに来たは何《なに》ゆゑか。

うつかりと君が言葉に絆《ほだ》されて………

いいえ、いいえ、
みんなわたしの心から………

あれ、雀《すゞめ》が飛んでしまつた。

それはあなたのせゐでした[#「せゐでした」は底本では「せいでした」]。
みんな、みんな、雀《すゞめ》が飛んでしまひました。

あなた、わたしは何《ど》うしても
先に日本へ帰ります。
もう、もう絵なんか描《か》きません。
雀《すゞめ》、雀《すゞめ》、
モンソオ公園の雀《すゞめ》、
そなたに餌《ゑ》をも遣《や》りません。

[#ここで段組終わり]
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   冷たい夕飯
        (雑詩卅四章)

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[#ここから2段組]

    我手の花

我手《わがて》
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