掛る、
子供の事が又しても……
せはしい日本の日送りも
心ならずに執《と》る筆も、
身の衰へも、わが髪の
早く落ちるも皆子ゆゑ。
子供を忘れ、身を忘れ、
こんな旅寝《たびね》を、はるばると
思ひ立つたは何《なに》ゆゑか。
子をば育《はぐく》む大切な
母のわたしの時間から、
雀《すゞめ》に餌《ゑ》をばやる暇を
偸《ぬす》みに来たは何《なに》ゆゑか。
うつかりと君が言葉に絆《ほだ》されて………
いいえ、いいえ、
みんなわたしの心から………
あれ、雀《すゞめ》が飛んでしまつた。
それはあなたのせゐでした[#「せゐでした」は底本では「せいでした」]。
みんな、みんな、雀《すゞめ》が飛んでしまひました。
あなた、わたしは何《ど》うしても
先に日本へ帰ります。
もう、もう絵なんか描《か》きません。
雀《すゞめ》、雀《すゞめ》、
モンソオ公園の雀《すゞめ》、
そなたに餌《ゑ》をも遣《や》りません。
[#ここで段組終わり]
[#改丁]
[#ページの左右中央から]
冷たい夕飯
(雑詩卅四章)
[#改丁]
[#ここから2段組]
我手の花
我手《わがて》
前へ
次へ
全250ページ中213ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
与謝野 晶子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング