今日《けふ》もわたしは用意して、
麺麭《パン》とお米を持つて来た。

それ、お食べ、
雀《すゞめ》、雀《すゞめ》、雀《すゞめ》たち、
聖母の前の鳩《はと》のよに、
素直なかはいい雀《すゞめ》たち。
わたしは国に居た時に、
朝起きても筆、
夜《よ》が更けても筆、
祭も、日曜も、春秋《はるあき》も、
休む間《ま》無しに筆とつて、
小鳥に餌《ゑ》をば遣《や》るやうな
気安い時を持たなんだ。

おお、美《うつ》くしく円《まる》い背と
小《ちさ》い頭とくちばしが
わたしへ向いて並ぶこと。
見れば何《いづ》れも子のやうな、
わたしの忘れぬ子のやうな……
わたしは小声《こごゑ》で呼びませう、
それ光《ひかる》さん、
かはいい七《なな》ちやん、
秀《しげる》さん、麟坊《りんばう》さん、八峰《やつを》[#ルビの「やつを」は底本では「やつ」]さん……
あれ、まあ挙げた手に怖《おそ》れ、
逃げる一つのあの雀《すゞめ》、
お前は里に居た為《た》めに
親になじまぬ佐保《さほ》ちやんか。

わたしは何《なに》か云《い》つてゐた、
気が狂《ちが》ふので無いか知ら……
どうして気安いことがあろ、
ああ、気に掛る、気に
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