に引く。
秋の盛り
秋の盛りの美《うつ》くしや、
※[#「くさかんむり/繁」、第3水準1−91−43]※[#「くさかんむり/婁」、第3水準1−91−21]《はこべ》の葉さへ小さなる
黄金《こがね》の印《いん》をあまた佩《お》び、
野葡萄《のぶだう》さへも瑠璃《るり》を掛く。[#「掛く。」は底本では「掛く」]
百舌《もず》も鶸《ひは》[#ルビの「ひは」は底本では「ひよ」]も肥えまさり、
里の雀《すゞめ》も鳥らしく
晴れたる空に群れて飛び、
蜂《はち》も巣毎《すごと》に子の歌ふ。
小豆色《あづきいろ》する房垂れて
鶏頭《けいとう》高く咲く庭に、
一《ひと》しきり射《さ》す日の入りも
涙ぐむまで身に沁《し》みぬ。
朝顔の花
朝顔の花うらやまし、
秋もやうやく更けゆくに、
真垣《まがき》を越えて、丈《たけ》高き
梢《こづゑ》にさへも攀《よ》ぢゆくよ。
朝顔の花、人ならば
匂《にほ》ふ盛りの久しきを
世や憎みなん、それゆゑに
思はぬ恥も受けつべし。
朝顔の花、めでたくも
百千《もゝち》の色のさかづきに
夏より秋を注《つ》ぎながら、
飽くこと知らで日にぞ酔《ゑ》
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