顔を埋《うづ》めて下を向く
若い男の太陽よ。
しかし早くも、美《うつ》くしい
うすくれなゐの微笑《ほゝゑみ》は
太陽の頬《ほ》にさつと照り、
掩《おほ》ひ切れざる喜びの
底ぢからある目差《まなざし》は
金《きん》の光をちらと射る。
あたりを見れば、桃さくら、
エリオトロオプ、チユウリツプ、
小町《こまち》娘を選《よ》りぬいた
花の踊りの幾むれが
春の歌をば口口《くちぐち》に
細い腕《かひな》をさしのべて、
ああ太陽よ、新しく
そなたを祝ふ朝が来た。
もとより若い太陽に
春は途中の駅《しく》なれば、
いざ此処《ここ》にして胸を張り
全身の血を香らせて
花と青葉を呼吸せよ、
いざ魂《たましひ》をすこやかに
はた清くして、晶液《しやうえき》の
滴《したゝ》る水に身を洗へ。
やがて、そなたの行先《ゆくさき》は
すべての溝が毒に沸《わ》き、
すべての街が悪に燃え、
腐れた匂《にほ》ひ、※[#「執/れっか」、165−上−4]《あつ》い気息《いき》、
雨と洪水、黴《かび》と汗、
蠕虫《うじ》[#ルビの「うじ」は底本では「うぢ」]、バクテリヤ、泥と人、
其等《それら》の物の入《い》りまじり、
濁り、泡
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