る》の
灰色したる心地して、
砂の煙《けぶり》に羽羽《はば》たきぬ。


    弥生の歌

にはかに人の胸を打つ
高い音《ね》じめの弥生《やよひ》かな、
支那《しな》の鼓弓《こきう》の弥生《やよひ》かな。

かぼそい靴を爪立《つまだ》てて
くるりと旋《めぐ》る弥生《やよひ》かな、
露西亜《ロシア》バレエの弥生《やよひ》かな。

薔薇《ばら》に並んだチユウリツプ、
黄金《きん》[#ルビの「きん」は底本では「ん」]」と白との弥生《やよひ》かな、
ルイ十四世《じふしせい》の弥生《やよひ》かな。


    四月の太陽

ああ、今やつと目の醒《さ》めた
はればれとせぬ、薄い黄の
メランコリツクの太陽よ、
霜、氷、雪、北風の
諒闇《りやうあん》の日は過ぎたのに、
永く見詰めて寝通《ねとほ》した
暗い一間《ひとま》を脱け出して、
柳並木の河岸《かし》通《どほ》り
塗り替へられた水色の
きやしやな露椅子《バンク》に腰を掛け、
白い諸手《もろて》を細杖《ほそづゑ》の
銀の把手《とつて》に置きながら、
風を怖《おそ》れて外套《ぐわいたう》の
淡《うす》い焦茶の襟を立て、
病《やまひ》あがりの青ざめた

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