ゆく
焔《ほのほ》の舞。
曙《あけぼの》の雲間《くもま》から
子供らしい円《まろ》い頬《ほ》を
真赤《まつか》に染めて笑ふ
地上の山山。
今、焔《ほのほ》は一《ひと》揺れし、
世界に降らす金粉《きんぷん》。
不死鳥《フエニクス》の羽羽《はば》たきだ。
太陽が現れる。
春が来た
春が来た。
せまい庭にも日があたり、
張物板《はりものいた》の紅絹《もみ》のきれ、
立つ陽炎《かげろふ》も身をそそる。
春が来た。
亜鉛《とたん》の屋根に、ちよちよと、
妻に焦《こが》れてまんまろな
ふくら雀《すゞめ》もよい形《かたち》。
春が来た。
遠い旅路の良人《をつと》から
使《つかひ》に来たか、見に来たか、
わたしを泣かせに唯《た》だ来たか。
春が来た。
朝の汁《スウプ》にきりきざむ
蕗《ふき》の薹《たう》にも春が来た、
青いうれしい春が来た。
二月の街
春よ春、
街に来てゐる春よ春、
横顔さへもなぜ見せぬ。
春よ春、
うす衣《ぎぬ》すらもはおらずに
二月の肌を惜《をし》むのか。
早く注《さ》せ、
あの大川《おほかは》に紫を、
其処《そこ》の並木にうすべにを。
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