《いち》から図を引け、
トタンと荒木《あらき》の柱との間《あひだ》に、
汗と破格の歌とを以《もつ》て
かんかんと槌《つち》の音を響かせよ。

法外な幻想に、
愛と、真実と、労働と、
科学とを織り交ぜよ。
古臭い優美と泣虫とを捨てよ、
歴史的哲学と、資本主義と、
性別と、階級別とを超えた所に、
我我は皆自己を試さう。

新しく生きる者に
日は常に元日《ぐわんじつ》、
時は常に春。
百の禍《わざはひ》も何《なに》ぞ、
千の戦《たゝかひ》で勝たう。
おお窓毎《まどごと》に裸の太陽、
軒毎《のきごと》に雪の解けるしづく。


    元朝の富士

今、一千九百十九年の
最初の太陽が昇る。
美《うつ》くしいパステルの
粉《こな》絵具に似た、
浅緑《あさみどり》と淡黄《うすき》と
菫《すみれ》いろとの
透《す》きとほりつつ降り注ぐ
静かなる暁《あかつき》の光の中、
東の空の一端に、
天をつんざく
珊瑚紅《さんごこう》の熔岩《ラ※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]》――
新しい世界の噴火……

わたしは此時《このとき》、
新しい目を逸《そら》さうとして、
思はずも見た、
おお、彼処《かしこ》にある
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