き》は火の如《ごと》く且《か》つ狂ほし。
かかること知らぬ男、
我を褒《ほ》め、やがてまた譏《そし》るらん。
薄手の鉢
われは愛《め》づ、新しき薄手《うすで》の白磁の鉢を。
水もこれに湛《たた》ふれば涙と流れ、
花もこれに投げ入《い》るれば火とぞ燃ゆる。
恐るるは粗忽《そこつ》なる男の手に砕けんこと、
素焼の土器よりも更に脆《もろ》く、かよわく……
剃刀
青く、且《か》つ白く、
剃刀《かみそり》の刄《は》のこころよきかな。
暑き草いきれにきりぎりす啼《な》き、
ハモニカを近所の下宿にて吹くは憂《う》たて[#「たて」は底本では「れた」]けれども、
我が油じみし櫛笥《くしげ》の底をかき探れば、
陸奥紙《みちのくがみ》に包みし細身の剃刀《かみそり》こそ出《い》づるなれ。
煙草
にがきか、からきか、煙草《たばこ》の味。
煙草の味は云《い》ひがたし。
甘《うま》きぞと云《い》はば、粗忽《そこつ》者、
蜜《みつ》、砂糖の類《たぐひ》と思はん。
我は近頃《ちかごろ》煙草《たばこ》を喫《の》み習へど、
喫《の》むことを人に秘めぬ。
蔭口《かげぐち》に、男に似る
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