捕《とら》へんとしながら、
獲《う》る所は疑惑と悔《くい》のみ。
我が諸手《もろて》は常に高く張り、
我が目は常に見上げ、
我が口は常に呼び、
我が足は常に急ぐ。
されど、友よ、
ああ、かの太陽は遠し。
旅行者
霧の籠《こ》めた、太洋《たいやう》の離れ島、
此島《このしま》の街はまだ寝てゐる。
どの茅屋《わらや》の戸の透間《すきま》からも
まだ夜《よる》の明りが日本酒|色《いろ》を洩《もら》してゐる。
たまたま赤んぼの啼《な》く声はするけれど、
大人は皆たわいもない[#「たわいもない」は底本では「たはいもない」]夢に耽《ふけ》つてゐる。
突然、入港の号砲を轟《とゞろ》かせて
わたし達は夜中《よなか》に此処《ここ》へ著《つ》いた。
さうして時計を見ると、今、
陸の諸国でもう朝飯《あさはん》の済んだ頃《ころ》だ、
わたし達はまだホテルが見附《みつ》からない。
まだ兄弟の誰《た》れにも遇《あ》はない。
年《ねん》ぢゆう[#「ぢゆう」は底本では「ぢう」]旅してゐるわたし達は
世界を一つの公園と見てゐる。
さうして、自由に航海しながら、
なつかしい生れ故郷の此島《このしま》へ帰
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