ら、純正個人主義と世界人類主義とを背景としない国家主義、言い換れば個人の愛(個人の道徳)と世界人類の愛(世界人類の道徳)とを裏切った国家主義に反対します。
愛の世界的協同と共に必要なことは経済の世界的協同であると思います。この事の必要は今度の戦争において現に暗示されております。協商国側も連合国側も軍事上政治上の協同だけでは戦争の出来ないことを知りました。米国が戦争に参加して連合国側に偉大な強味を与えたことも、その兵力よりは、その豊富な財力に恃《たの》む所があるからです。好戦尚武の国として知られた日本が、よく自制して今度の戦争に大兵を動かさないのも、その重要な原因は米国と反対に財力の不足にあります。またこの度の戦争に由る財力の集中偏依が世界の隅々まで影響し、私たちの日常生活の第一の必要品である食物までを法外に暴騰《ぼうとう》させているのを見ると、如何なる名義の下にも、財力の集中と濫費が人類生活を危険にする事が想われ、同時にそれらの公平な分配と正当な支出が人類生活を幸福にすることが想われます。全人類の共通な幸福を円滑にし保障するものとして、相互に財力を扶助し合う経済の世界的協同が成立する
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