然的必要から、国民としての協同自治機関である国家を尊重し擁護します。しかし人種的の差別は最早国民の協同生活の上に何の条件にもならない事を認めます。私たちは世界いずれの人種の帰化をも拒まず、現に朝鮮人の全部と支那人の一部とを包容した国民生活を営んでおります。私たちの愛する国家は、他の国家と他の国民を峻拒しもしくは敵視するような排他的の目的を少しも持たず、歴史的、地理的、生産的、政治的の特殊な差別関係によって集団生活を持続している日本国民のために専らその自治改造の確実な機関たる外に何の目的もないものでありたいと思います。国民生活がこの目的の範囲を越えて排他的征服的の目的を国家の上に加え、他の国民と国家との生活を危くして顧みず、この第二の目的のために国民自身の他の二つの生活――個人的及び世界的生活――をも犠牲にする事になれば、それは愚かにも国民生活を偏重して唯一絶対の価値あるものとし、それが或限定された正当な目的を持った容器であることを忘れて、その中に一切の人間生活を収めよう、圧搾しようとする無理な仕方である以上、世界の平和は勿論、結局、国民自身の平和をも破らずには置きません。私はこの意味か
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