て居る自由を羨まずには居られませんでした。私のために鋏《はさみ》を取つて来て薔薇の花をしよきしよきと切つて落しました。鉢植のも花壇のも高い木に倚《よ》つて咲いたのも好《い》いのは皆切つてくれました。赤いのなどは香《か》が悪いと云つて白や薄黄や薄水色やばかりを切つてくれました。其《その》日私が姉の前で開きました包から百ばかりの薔薇の出ました時の心もちは今思ひ出しましても興奮される程嬉しいことでした。二人がお茶の稽古に行きます日、その初《はじめ》に師家へ納めます金のことで、
「束脩《そくしう》と云ふのでせう。」
と楠さんは云ひ、私はまた、
「脩束《しうそく》ぢやなかつたかしら。」
 こんな間違ひを云つた記憶もあります。河井酔茗《かはゐすいめい》さんなどの仲間へ私を紹介した人もそれから幾年か後《のち》の楠さんでした。


私の見た少女 おさやん

おさやん

 おさやんと私は従妹《いとこ》です。真実《ほんたう》の名前は龍野《たつの》さくと云ふのです。私とおさやんは同年《おないどし》でしたけれども、おさやんは三月に生れて私は十二月に生れたからまあ一歳《ひとつ》違ひのやうなものだと私の母であるお
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